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2017/08/20 07:21 |
ゲームデザインの理論:ゲームプレイヤー自身によるゲームの目標設定
更新履歴
2009/9/10: この記事の内容を修正して「ゲームデザインの理論」のドキュメントに追加しました。今後は、こちらのドキュメントを更新していきます。
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 この記事では、以下を主張する。

  (a) ゲームプレイヤーは、ゲームプレイ時に、プレイヤー自身によりゲームの目標を設定する

  (b) ゲームプレイヤーは、自身が設定した目標の達成が困難であるとき、不満を持つ

このことは、以下を意味する。

  ゲームデザインのプロセスでは、

    (A) 現状のゲームデザインからプレイヤーがどのような目標を設定し、

    (B) その目標がいかに達成されるのかを考慮し、

   
(C) 達成の困難さに基づき、ゲームデザインを修正していく必要がある


■ ゲームデザインとは何か?


ゲームデザインのプロセス(活動)とは、ここでは、次のような側面に対する様々な決定(デシジョン)を行うことだする。

  (1)ゲームのルールの側面: 「キャラクターのレベルは上がる」、「レベル制限は99」、「戦闘はターン制であり、敵と見方が交互に行動を行う」、など。

  (1.1)ゲームバランスの側面: 「ある敵のHPは500」といった、パラメータの設定など。

  (2)ゲームシステムの側面: 「セーブ数は、10件」など。

  (2.1)ユーザインタフェースの側面: 「LボタンとRボタンでキャラクターの切り替えができる」など。

  (2.2) システムの品質に関わる非機能要素の側面: たとえば、ロード時間に対する要求。3秒以内に戦闘画面を表示し、ユーザの入力を受け付けなければならない、など。

  (3)ゲームの遊び方に関する側面: ゲーム中のBGMを自由に変更できるなど。

ゲームデザインとは、このプロセスの結果として決めたこと(デシジョン)の集合であるとする。

詳細は「ゲームデザインの理論」のドキュメントを参照。


■ ゲームプレイヤー自身によるゲームの目標の設定


この記事では、ゲームプレイヤーの一つの側面を議論する。それは、

  ゲームプレイヤーは、ゲームプレイ時に、プレイヤー自身によりゲームの目標を設定する

ということである。

以下では、プレイヤーの目標設定がいかにゲームに対するプレイヤーの不満に結びつくのかを実例をもとに見ていく。つまり、

  ゲームプレイヤーは、自身が設定した目標の達成が困難であるとき、不満を持つ

ことを見ていく。

NDSのSRPGの『女神異聞録デビルサバイバー』のレビューでは、次の不満が挙げられていた。

  ■セーブ箇所が1つ。マルチエンディングではっきりしたストーリー分岐が最終日のみにも関わらずセーブは1箇所。2・3週目くらいまでは初プレイと同様楽しく進められそうだが、エンディングコンプのために周回を重ねるとなるとその都度最初からやり直す羽目になるので流石に飽きそうな予感。
 
この不満の表現からは、次のような要素を特定できる。

  ・プレイヤーの設定した目標:エンディングコンプリート

  ・デザイナーの行ったデシジョン: マルチエンディングである

  デザイナーの行ったデシジョン: セーブ箇所は一つである

  ・プレイヤーの不満(避けたいこと): 他のエンディングを見るまでに飽きる(かも)

下記の図は、これら要素間の関係を表している。

goal.PNG

この実例をもとに、以下のことが考察できる。

  (1) プレイヤー依存の目標設定: 「エンディングコンプリート」という目標は、全てのプレイヤーが目標とするものではない。したがって、一般的に、プレイヤーによって設定される目標は、プレイヤーによっては異なる。

  (2) プレイヤーとデザイナーの目標設定の違い: 「エンディングコンプリート」という目標は、デザイナー(作り手側)が想定した目標ではないかもしれない。したがって、一般的に、プレイヤーはデザイナーが想定しなかったような目標を設定することがある。

  (3) デシジョンから発生する目標: 「エンディングコンプリート」という目標は、「マルチエンディングである」というデシジョンがなければ発生しない。たとえば、「シングルエンディングである」というデシジョンによるゲームの場合、「エンディングコンプリート」という目標はプレイヤーによって設定されない。したがって、一般的に、あるデシジョンの存在がある目標が設定の要因となる。

  (4) 目標を阻害するデシジョン: 「エンディングコンプリート」という目標は、「セーブ箇所が一つである」というデシジョンが存在することにより、達成が難しくなる。

他の実例でもう少し検証する。

NDSのRPGの『セブンスドラゴン』のレビューでは、次の不満が挙げられていた。

  ● アイテム所持数制限
  他の方も書かれている通り、100個しか持てません。
  それはそれで、せめてギルドの倉庫みたいなものがあったらよかったなーと思うところ。
  ただ、アイテムを持たなくても十分戦えるパーティーにすることもできるようですし、いらんものをぽんぽん売れば、十分な数かも、とも思います。
  武器や防具なんかをとっておけないのは、コレクターさんには辛いかもしれません。


この不満の表現に対しては、「武器や防具のコレクト」という目標の観点から、先ほどの事例と同じように考える。

  ・プレイヤーの設定した(するかもしれない)目標:武器や防具のコレクト

  ・デザイナーの行ったデシジョン: 武器や防具がある

  ・デザイナーの行ったデシジョン: アイテムの最大所持数は100個

  ・プレイヤーの不満: 武器や防具をとっておけない

goal2.PNG

先ほどの考察がこの例でも同じ考察ができるか確認する。

  (1) プレイヤー依存の目標設定: 全てのプレイヤーが「武器や防具のコレクト」を目標とするわけではない。

  (2) プレイヤーとデザイナーの目標設定の違い: この項目に関しては確かなことは言えない。デザイナーは「武器や防具のコレクト」という目標を想定しなかったかもしれない。

  (3) デシジョンから発生する目標: 「武器や防具のコレクト」という目標は、「武器や防具がある」というデシジョンから発生する。

  (4) 目標を阻害するデシジョン: 「武器や防具のコレクト」という目標は、「アイテムの最大所持数は100個」というデシジョンが存在することにより、達成が不可能になる。


ここまでをまとめると、ゲームプレイヤーについて以下が言える。

  (a) ゲームプレイヤーは、ゲームプレイ時に、プレイヤー自身によりゲームの目標を設定する

  (b) ゲームプレイヤーは、自身が設定した目標の達成が困難であるとき、不満を持つ

ゲームデザインとゲームデザインのプロセスについては、次節で議論する。

■ ゲームプレイヤーの目標を考慮するゲームデザインとプロセス


前節では、ゲームプレイヤーについて以下の特徴付けを行った。

  (a) ゲームプレイヤーは、ゲームプレイ時に、プレイヤー自身によりゲームの目標を設定する

  (b) ゲームプレイヤーは、自身が設定した目標の達成が困難であるとき、不満を持つ

また、以下の考察を示した。

  (1) プレイヤー依存の目標設定

  (2) プレイヤーとデザイナーの目標設定の違い

  (3) デシジョンから発生する目標

  (4) 目標を阻害するデシジョン

ゲームデザインの観点からは、以下のように言える。

  ・(3)と(4)が(a)と(b)に関係する。つまり、プレイヤーの不満は、ゲームデザインを構成するデシジョン間の不整合により発生する。

  ・また、(1)と(2)は、不整合の発生の起こりやすさに影響する。つまり、デザイナーがプレイヤーが設定するかもしれない目標を適切に想定するのは困難である。

まずは前者を議論する。前節の二つの例をプレイヤーの目標を妨げないようにするという観点から再デザインする。

以下の図は、一つ目の実例の再デザインの例である。

goal_after.PNG

この再デザインでは、「セーブ箇所は一つである」というデシジョンを「セーブ箇所は二つである」というデシジョンに変更した。これにより、「エンディングコンプリート」という目標の達成が容易になる。

同じように以下の図は、二つ目の実例の再デザインの例である。

goal2_after.PNG

この再デザインでは、プレイヤーの提案を採用し「倉庫がある」というデシジョンを追加した。また「最大格納数は500個」というデシジョンも追加した。これらのデシジョンにより、「武器や防具のコレクト」という目標の達成が容易になる。

以上のことから、

  ゲームデザイン上のデシジョンが、プレイヤーの目標の設定と目標の達成の困難さから発生する不満を決める

ことを示した。

次に、このようなデシジョンを行う上で以下の二つがどのように影響するのかを考える。

  (1) プレイヤー依存の目標設定

  (2) プレイヤーとデザイナーの目標設定の違い

(1)は、あるゲームデザイン上のデシジョンから発生する目標は、プレイヤーによって異なることを意味している。

(2)は、デザイナーが各プレイヤーが設定するかもしれない目標の推測が容易ではないかもしれないことを意味してる。容易ではないのでは、(1)の結果から、発生する目標は多様であるかもしれないためである。

結論としては、プレイヤーの目標設定から発生する不満を少なくするために、

  ゲームデザインのプロセスでは、

    (A) 現状のゲームデザインからプレイヤーがどのような目標を設定し、

    (B) その目標がいかに達成されるのかを考慮し、

   
(C) 達成の困難さに基づき、ゲームデザインを修正していく必要がある

といえる。このA~Cのサイクルを容易にするには、たとえば、あるデシジョンからどのような目標が設定されるのか、ということを収集し、再利用することが考えられる。

■ まとめ


この記事では、事例をもとに、ゲームでプレイヤーに関して以下が観察できることを示した。

  (a) ゲームプレイヤーは、ゲームプレイ時に、プレイヤー自身によりゲームの目標を設定する

  (b) ゲームプレイヤーは、自身が設定した目標の達成が困難であるとき、不満を持つ

この観察をもとに、以下を議論した。

  ゲームデザインのプロセスでは、

    (A) 現状のゲームデザインからプレイヤーがどのような目標を設定し、

    (B) その目標がいかに達成されるのかを考慮し、

   
(C) 達成の困難さに基づき、ゲームデザインを修正していく必要がある



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2009/08/22 00:02 | Comments(0) | TrackBack(0) | ゲームデザイン

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