疑問: ゲームデザインの再利用を行うかどうかを決定する要因は何か?
前回の記事では、ゲームデザインの再利用についての定義を議論した。ゲームデザインの再利用とは、
・あるゲームデザインの部分的構造を、他のゲームで利用すること
であるとした。
また、再利用をゲームのシリーズの観点から以下の二つに分類した。
(1)シリーズ内再利用: あるゲームシリーズ内でのゲームデザインの再利用。
(2)シリーズ外再利用: シリーズ外のタイトル間でのゲームデザインの再利用。
この記事では、シリーズ内でのゲームデザインの再利用を行うかどうかを決定する一つの要因について考察する。つまり、
・ シリーズ内において過去のデザインのどの部分を再利用するかどうかは、過去のゲームをプレイしたユーザを考慮しなければならない。
この考察は、先日、「女神異聞録デビルサバイバー」のレビューを分析していて気づいたことである。
開発者の観点からの再利用の決定要因
再利用を行うかどうかの決定には、様々な要因が関係する。再利用を行うことの利点の一つには、以下がある。
・デザイン(意思決定)のコストの削減: 適切なデザインを行う、もしくは、意思決定を行うのは難しい。そのため、過去の部分的なデザイン(決定内容)の品質が悪くないのなら、その部分を再利用することで誤った意思決定を行うリスクを避けられる。
これは、開発者側のビューといえる。
ユーザの観点からの再利用の決定要因
一方で、ユーザの観点から、ゲームデザインの再利用を観察できる。
「女神異聞録デビルサバイバー」は、女神転生シリーズの新しいタイトルである。 この記事を書いている時点での、「女神異聞録デビルサバイバー」の全28件のレビューでのユーザの不満を分析した結果には、以下があった。
・悪魔全書は欲しかった。悪魔全書がない。
悪魔全書は、最近の女神転生シリーズおいて導入されているシステムの一つである。
悪魔全書がないことの不満は3件あった。28件中の3件なので、それほどどのユーザにも共通する不満とはいえないかもしれない。
もちろん、デビルサバイバーにおいて悪魔全書を導入もしくは再利用しなかった何らかの理由があるかもしれない。
(1)容量の都合: 悪魔全書を導入したかったが容量上の都合でできなかった。
(2)ゲームシステムの都合: 悪魔全書の導入を検討したが、今作は、従来のRPGとは異なるシミュレーションRPGであるため、悪魔全書の導入はゲームシステム上適切でないと判断した。
考察
考察は以下である。
・シリーズの新しいタイトルのデザインの不満は、過去のシリーズタイトルをプレイしたユーザかどうかよって異なる。
したがって、
・ゲームデザインを再利用するかどうかの決定は、開発側の観点からのみ考慮されるのではなく、過去のシリーズタイトルをプレイしたユーザの観点からも考慮されなけばならない。
もちろん、この考察は、考慮されなければならい、といっているだけでどうすればいいのかの具体的な指針を提供していない。一ついえるのは、通常、
・過去のシリーズタイトルをプレイしたユーザにとっては、今までのシリーズで導入されていたデザインが再利用されなかった理由が分からない
ということである。したがって、ユーザに納得してもらうためには、
・開発者側は、デザインを再利用しなかった根拠を明確にする
ということが必要かもしれない。
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