疑問: どんな種類のゲームデザインを再利用できるのか?
今までの記事で定義してきたように、もしゲームデザインを意思決定の結果だとするなら、どんな種類の(部分的な)意思決定結果を再利用できるのだろうか?
再利用は、別の言い方をするなら、新規性がないと見なせるかもしれない。しかし、ある種の再利用は、コストの面などから不可避であるともいえる。事実、既存のゲームの多くが過去のゲームのデザインを明示的・暗黙的に再利用している。
ここでの課題は、どんな種類のデザイン であれば、再利用が適切なのかを決める何らかの 基準・原則 を明らかにすることであると言える。この記事では、この課題に向けての基礎的な定義を考えたい。
ゲームデザインとは何か?
ゲームデザインのプロセス(活動)とは、ここでは、次のような側面に対する様々な決定を行うことだする。
(1)ゲームのルールの側面: キャラクターのレベルは上がる。レベル制限は99。戦闘はターン制であり、敵と見方が交互に行動を行う、など。
(1.1)ゲームバランスの側面: ある敵のHPは500といった、パラメータの設定など。
(2)ゲームシステムの側面: セーブ数は、10件など。
(2.1)ユーザインタフェースの側面: LボタンとRボタンでキャラクターの切り替えができるなど。
(2.2) システムの品質に関わる非機能要素の側面: たとえば、ロード時間に対する要求。3秒以内に戦闘画面を表示し、ユーザの入力を受け付けなければならない、など。
(3)ゲームの遊び方に関する側面: ゲーム中のBGMを自由に変更できるなど。
ゲームデザインとは、このプロセスの結果として決めたことの集合であるとする。
ゲームデザインの構造とは何か?
ゲームデザインとは、決めたことの集合であるとした。決めたことは、独立しているのではなく、他の決めたことと関係を持つ。たとえば「レベル制限は99」という決定は「キャラクターのレベルは上がる」という決定がまずなされていなければならない。
ここでは、ゲームデザインの構造を、決めたこと(構造要素)とその間の関係とする。
ゲームデザインの再利用とは何か?
ゲームデザインの再利用とは、あるゲームデザインの部分的構造を、他のゲームで利用することだと言える。もちろん、再利用時にはそのまま利用できないかもしれず、修正が必要かもしれない。
ゲームデザインの再利用の分類
既存のゲームにおける再利用は、一つの軸の観点から以下に分類できる。
(1)シリーズ内再利用: あるゲームシリーズ内でのデザインの再利用。
(2)シリーズ外再利用: シリーズ外のタイトル間でのデザインの再利用。
シリーズの観点から分類を行う理由は、シリーズ内では許されるデザインと、シリーズの外で許されるデザインとでは違いがあるためである。たとえば、ドラクエシリーズで、メラやヒャドといった呪文の種類や名前が何度も使用されるのは、ゲームをプレイするユーザ側からみても違和感はないといえる。しかし、ドラクエとは全然異なるゲームタイトルで、メラやヒャドといった対象を使用するのは、問題があるといえる。
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