今週号のファミ通(10/19)に「チョコボの不思議なダンジョン 時忘れの迷宮」の新着情報が載ってた。気になる内容の一つに、今回(から?)は、ダンジョン内のトラップには、マイナス効果のトラップだけでなく、プラス効果のトラップもあるらしいという点。
今回の記事では、この仕様の変化を、前回の記事で紹介したフィーチャダイアグラムを使って表してみよう。
やろうとしているのは、ゲームのデザインを、フィーチャダイアグラムを使って表してみようというもの。この記事では、ゲームのデザインは、ある項目における選択肢から選択された結果だと考えている。たとえば、不思議のダンジョン風のゲームを作ろうとした場合、ダンジョン内にトラップが「出現する」か「出現しない」のかという選択肢があり、ゲームデザイナーはどちらかを選ばないといけない。どちらを選んだかで、異なるゲームが生まれると考えられる。具体例としては、トラップが出現しない不思議のダンジョン風のゲームとしては最近では「ローグ ハーツ ダンジョン」がある。
トラップの例は、あるゲームデザインが異なるのは、異なる選択肢が選ばれたから、というのを表したけど、一方で、不思議のダンジョン風のゲームを作ろうとした場合、共通となってしまう要素もある。たとえば、プレイヤーが操作するキャラクターは、体力というステータスを持っていることは暗黙的に決められていることだと思う。
フィーチャダイアグラムは、このようなあるコンセプト(例では不思議のダンジョン)の共通部分(共通性)と異なる部分(可変性)をグラフィカルに表現する記法の一つ。
さて、では、不思議のダンジョン風のゲームのトラップの側面に着目して、フィーチャダイアグラムを書いてみよう。一つはダンジョン内に出現するトラップはマイナスの効果しかない、という従来の不思議のダンジョンでのゲームデザイン。もう一つは、「時忘れの迷宮」で新たに変更があったトラップにはマイナス効果とプラス効果があるというゲームデザイン。
このフィーチャダイアグラムからは、次のことが分かります。
(1)不思議のダンジョン風のゲームには、トラップがある場合とない場合がある。
(2)トラップがある場合には、様々な異なる効果を持つトラップが複数あり、それらのいくつかがダンジョン内に出現する。
(3)トラップがある場合には、ダンジョン内にどんな種類のトラップが出現するのかを決めることで、異なるゲームデザインとなる。
次に、上のフィーチャダイアグラムを変更して、マイナス効果とプラス効果のトラップが出現するというゲームデザインも表せるようにしたフィーチャダイアグラム。
このフィーチャダイアグラムからは、次のことが分かります。
(1)不思議のダンジョン風のゲームには、トラップがある場合とない場合がある。
(2)トラップがある場合には、プラス効果とマイナス効果のトラップがある。
(3)トラップがある場合には、様々な異なる効果を持つトラップが複数あり、それらのいくつかがダンジョン内に出現する。
(4)トラップがある場合には、ダンジョン内にどんな種類のトラップが出現するのかを決めることで、異なるゲームデザインとなる。
考察:
ゲームのデザインを、フィーチャダイアグラムを使って明示的に表現することの利点は以下の点です。
(1)ゲームデザインとしてどの部分が共通でどの部分が可変なのかが明確になる。それにより、可変部分に関して、どのような違いを持たせるのかに重点を置ける。たとえば、トラップの例を見てみると、トラップの種類の部分は不思議のダンジョン風のゲームで違いを生む箇所であることが分かる。今までになかったようなトラップを考え出せば、異なる新規性の感じられるゲームデザインになることが明確になる。
(2)可変部分に着目することで、今まで考えていなかったようなゲームデザインの側面に着目できる。たとえば、トラップの例を見てみると、プラス効果のトラップしか出現しないようなダンジョンも考えられる。