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2017/06/24 12:40 |
ゲームデザイン:世界樹の迷宮
DSの「世界樹の迷宮」(amazon.co.jp)を購入して、数十時間プレイしたので、ゲームデザインの観点から考察してみる。

「世界樹の迷宮」は、アトラスが開発した3DダンジョンRPG。基本的には、Wizみたいに、ダンジョンを探索することがメインの内容。

今回は、「世界樹の迷宮」の悪い点の一つである「ステータス画面などでキャラの切り替えがLやRのボタンでできない」という項目に焦点をあてて、ゲームデザインの観点から考察する。

目的は、実際のゲームのデザインを考察することであって、「世界樹の迷宮」自体の批判ではないことに注意していただきたい。


まず、ゲームデザインとは何かについて、軽く定義しておきたい。そのためには、デザインとは何かを考える必要がある。John Geroによれば、デザインという活動は、次の特徴を持っている[1]。

(1)ゴールがある(goal-oriented)

(2)制約がある(constrained)

(3)意思決定を行う(decision-making)

(4)探索を行う(exploration)

(5)学習を伴う(learning)

ここで、Geroは、デザインを変数の観点からモデル化した場合のことを述べている。まず、デザインは、満たすべき要求がある。また、設計者は、変数の値を選択する活動を行う。デザインは、コストや時間といったリソース的な制約だけでなく、様々な社会的な環境の基で行われる。そのため、どの変数を用いるのか、どんな値を用いるのかといった選択は制約がある。また、デザインは、どんな変数や値が適切なのかといった探索を伴い、探索は学習を必要とする。

次に、ゲームデザインとは何か。Wikipediaによれば:
ゲームデザイン(英: Game design )とは、ゲームの内容やルールのデザイン過程を指す。
また、ゲームデザインの目的は次のように記述されている。

ゲームデザインの目的は、基本的にある制約条件下でゲームを作ることである。制約条件はデザイン対象のゲームによって異なる。以下のような制約がある。

・技術的制約
・製造上の制約
・想定される対象者に関する制約
・倫理的制約
・政治的制約

この記事では、Geroがあげた三番目の項目である意思決定、つまり、変数とその値の選択に焦点を当てて考えていきたい。

ゲームデザインを意思決定であると考えたとき、どんな決定があるのか。以前の記事でも少し考えてみたけど、もう一度いくつかの例を書いておく。
(1)ユーザに対してどのような機能を提供する/しないのかなどに関わる選択

(2)ゲームシステムのコア部分に関する選択

(3)ユーザーインタフェースに関する選択

(4)CDの読み込みなどの性能的な非機能なものに関する選択

しかし、ゲームデザインといった場合、機能を実現するソフトウェアの内部構造に関する選択、つまり、いわゆるソフトウェア設計(デザイン)は伴わないように思う。もちろん、両者は関係するため、無視してよいわけではないが、この記事では扱わない。


さて、これらのことを基に、本題に入ろうと思う。つまり「世界樹の迷宮」の悪い点の一つである「ステータス画面などでキャラの切り替えがLやRのボタンでできない」という項目に焦点をあてて、ゲームデザインの観点から考察する。

まず、一つの定量的な情報として、ゲームをプレイした人のどれくらいがこの欠点を挙げていたのかを調査してみた。調査対象としては、DSのゲームレビューを収集しているサイトの一つである「NintendoDS mk2 」に投稿された、119件のレビューとした。結果として、119のレビューのうち、38件(約32%)がこの欠点を明示的に挙げていた。このことからは、3人に一人は、この欠点に気づいたことになる。


前回の記事では、DSのFF3のプレイ感想を基に、以下の三点をゲームデザインに関わることとしてあげた。

(1)ゲームデザインにおけるアンチパターン:つまり、ゲームをデザインする上で、誤った選択が度々行われることがある。

(2)他の作品から学ぶ:つまり、他のゲームデザイナがどのような選択を行ったのかを観察し、評価し、活用する必要がある。

(3)基本原則:つまり、ある状況においては、選択するという選択がない項目がある。

この三点に照らし合わせながら、「ステータス画面などでキャラの切り替えがLやRのボタンでできない」という欠点を考察したい。


(1)ゲームデザインにおけるアンチパターン:この欠点は、アンチパターンか? そうかもしれないし、そうでないかもしれない。少なくとも、アンチパターンであるからには、誤った選択が度々行われる必要がある。一つの事例しか知らないのでそれ以上のことは言えない。言えるのは、少なくとも、プレイヤー側の観点から言えるのは、「L・Rで切り替えられない」というは、不適切選択であったということ。

(2)他の作品から学ぶ:この欠点は、過去のゲームから学んでいれば、避けられたのか? YESだと思う。少なくとも、僕の記憶では、SFCの「ロマサガ3」の時には「L・Rでキャラの切り替えができた」と思う。Wikipediaによれば「ロマサガ3」は1995年の発売。

(3)基本原則:「キャラの切り替えをワンステップでできるようにする」というのは基本原則か? 基本となる原則というには特殊すぎるかもしれない。ただし、破る理由が特にないのであれば、LやRボタン等で切り替えができるのは、抑えておかなければ成らない項目に思える。実際レビューで調査したように、三人に一人は、この基本を守っていないことを指摘している。


これら考察から、さらにいくつかを考察したい。

(1)この欠点に気づけたのか?:恐らくYES。データが示しているように、三人に一人は、欠点として挙げている。

(2)この欠点は避けられたのか?
:恐らくYES。ただし、「世界樹の迷宮」の場合、LやRをキャラの切り替えに割り当てなかったのは、LやRをマップの階層を切り替えるために使用してしまったからともいえる。レビューでは、「階層の切り替え」ではなく「キャラの切り替え」にボタンを割り振るべきだった、という意見があった(定量的なデータは未収集)。



まとめ。

(1)意思決定としてのゲームデザイン:どんな選択を行うのか、という観点からゲームデザインを考えることができる。選択には、不適切な選択と適切な選択がある。

(2)不適切な選択:他のゲーム作品から学ぶことができ、プレイヤーの観点からしたら基本であり守って欲しい項目であっても、ゲームをデザイン時に不適切な選択が行われることがある。

(2)ゲームデザインのレビュー:テストプレイやレビューを通して、不適切な意思決定に気づことができ、そして修正できる可能性がある。




参考文献:
[1] Gero, J. S. (1990). Design prototypes: a knowledge representation schema for design, AI Magazine, 11(4): 26-36

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2007/08/05 13:10 | Comments(0) | TrackBack(0) | ゲームデザイン

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