この記事では、以下を主張する。
あるゲームに要求される ゲームデザインは、ゲームプレイヤーのゲームプレイ経験の蓄積に伴い、徐々に複雑になっていく。
たとえば、直感的には、昔のRPGと比べて、現代のRPGは複雑である。ここでいう複雑さは、プレイヤーにとってゲームの操作方法や内容が複雑というのではなく、ゲームデザインの複雑さを意味する。
ゲームデザインの複雑さとは、ゲームが備える要素の数と関係の度合いである。たとえば、現代のRPGでは、「隠しボス」や「クリア後の二週目」というような要素があることが昔と比べて多い。そのため、昔のRPGと比べて現代のRPGはより複雑である。また、そのような要素がなければ、現代のプレイヤーが期待するものと違うため、それらは不満点として扱われる。
もし、過去より現代のゲームデザインが複雑であり、現代より未来のゲームデザインがこのまま複雑になっていくなら、複雑性の適切な理解と、その理解に基づいて複雑性を制御していくことが不可欠となる。
ゲームデザインのプロセス(活動)とは、ここでは、次のような側面に対する様々な決定を行うことだする。
(1)ゲームのルールの側面: キャラクターのレベルは上がる。レベル制限は99。戦闘はターン制であり、敵と見方が交互に行動を行う、など。
(1.1)ゲームバランスの側面: ある敵のHPは500といった、パラメータの設定など。
(2)ゲームシステムの側面: セーブ数は、10件など。
(2.1)ユーザインタフェースの側面: LボタンとRボタンでキャラクターの切り替えができるなど。
(2.2) システムの品質に関わる非機能要素の側面: たとえば、ロード時間に対する要求。3秒以内に戦闘画面を表示し、ユーザの入力を受け付けなければならない、など。
(3)ゲームの遊び方に関する側面: ゲーム中のBGMを自由に変更できるなど。
ゲームデザインとは、このプロセスの結果として決めたことの集合であるとする。
詳細は「ゲームデザインの理論」のドキュメントを参照。
ゲームデザインとは、決めたことの集合であるとした。決めたことは、独立しているのではなく、他の決めたことと関係を持つ。たとえば「レベル制限は99」という決定をするためには「キャラクターのレベルは上がる」という決定がまずなされていなければならない。
ここでは、ゲームデザインの構造とは、決めたこと(構造要素)とその間の関係からなる概念だとする。
ゲームデザインの構造の違いの観点から、ゲームデザインの複雑性を定義する。
基本的には、ゲームデザインの構造を構成する要素の数と要素間の関係の数として複雑性を定義する。あるゲームデザインbがゲームデザインaより複雑であるというとき、bのほうがaより要素と関係が多いことを意味する。
たとえば、以下の図では、「RPG b」は「RPG a」より複雑である。bは、aにはない「隠しボスが存在する」という要素(決めたこと)を備える。
また、「隠しボスが存在する」という決定は、さらなる決定を要求する。たとえば、「隠しボスのはスキルAとBを持つ」、「隠しボスを倒すとアイテムXを落とす」などの決定である。
上記の例で示したように、ある決定、たとえば「隠しボスが存在する」という決定をした後には、さらに決定を行う必要がある場合がある。必要な決定の数が増えるほど、誤った決定を行う可能性も増える。誤った決定は、プレイヤーにとっての不満点となる。
そのため、プレイヤーの不満を避け、誤りを少なくするために、より複雑でないゲームデザインを目標とするかもしれない。しかし、プレイヤーはゲームプレイの経験の蓄積により、より複雑なゲームデザインを要求するかもしれない。その場合、複雑さを受け入れる必要がある。
たとえば、「隠しボスが存在しない」という決定は、昔のRPGでは許容されたかもしれない。しかし、「隠しボスが存在する」というRPGのプレイ経験を持つプレイヤーにとっては、現代のRPGにおいて、「隠しボスが存在しない」という決定は、受け入れにくいかもしれない。そのため、この決定はプレイヤーにとっての不満点となりうる。
したがって、複雑なゲームデザインを求めるプレイヤーを満足させていくには、複雑なゲームデザインを適切に創っていける必要がある。
もちろん、全てのプレイヤーが複雑なゲームデザインを求めるとは限らない。しかし、より多くのプレイヤーを満足させることを目標とする場合、複雑さを要求するプレイヤーと要求しないプレイヤーの両方を満足させていく必要がある。
この記事では、以下を主張した。
あるゲームに要求される ゲームデザインは、ゲームプレイヤーのゲームプレイ経験の蓄積に伴い、徐々に複雑になっていく。
この主張が適切ならば、以下が言える。
ゲームデザインの複雑さの制御が困難になっていく。
したがって、今後は、
ゲームデザインの複雑性の制御を支援するための仕組みや手法が必要となる。
あるゲームに要求される ゲームデザインは、ゲームプレイヤーのゲームプレイ経験の蓄積に伴い、徐々に複雑になっていく。
たとえば、直感的には、昔のRPGと比べて、現代のRPGは複雑である。ここでいう複雑さは、プレイヤーにとってゲームの操作方法や内容が複雑というのではなく、ゲームデザインの複雑さを意味する。
ゲームデザインの複雑さとは、ゲームが備える要素の数と関係の度合いである。たとえば、現代のRPGでは、「隠しボス」や「クリア後の二週目」というような要素があることが昔と比べて多い。そのため、昔のRPGと比べて現代のRPGはより複雑である。また、そのような要素がなければ、現代のプレイヤーが期待するものと違うため、それらは不満点として扱われる。
もし、過去より現代のゲームデザインが複雑であり、現代より未来のゲームデザインがこのまま複雑になっていくなら、複雑性の適切な理解と、その理解に基づいて複雑性を制御していくことが不可欠となる。
ゲームデザインとは何か?
ゲームデザインのプロセス(活動)とは、ここでは、次のような側面に対する様々な決定を行うことだする。
(1)ゲームのルールの側面: キャラクターのレベルは上がる。レベル制限は99。戦闘はターン制であり、敵と見方が交互に行動を行う、など。
(1.1)ゲームバランスの側面: ある敵のHPは500といった、パラメータの設定など。
(2)ゲームシステムの側面: セーブ数は、10件など。
(2.1)ユーザインタフェースの側面: LボタンとRボタンでキャラクターの切り替えができるなど。
(2.2) システムの品質に関わる非機能要素の側面: たとえば、ロード時間に対する要求。3秒以内に戦闘画面を表示し、ユーザの入力を受け付けなければならない、など。
(3)ゲームの遊び方に関する側面: ゲーム中のBGMを自由に変更できるなど。
ゲームデザインとは、このプロセスの結果として決めたことの集合であるとする。
詳細は「ゲームデザインの理論」のドキュメントを参照。
ゲームデザインの構造とは何か?
ゲームデザインとは、決めたことの集合であるとした。決めたことは、独立しているのではなく、他の決めたことと関係を持つ。たとえば「レベル制限は99」という決定をするためには「キャラクターのレベルは上がる」という決定がまずなされていなければならない。
ここでは、ゲームデザインの構造とは、決めたこと(構造要素)とその間の関係からなる概念だとする。
ゲームデザインの複雑性
ゲームデザインの構造の違いの観点から、ゲームデザインの複雑性を定義する。
基本的には、ゲームデザインの構造を構成する要素の数と要素間の関係の数として複雑性を定義する。あるゲームデザインbがゲームデザインaより複雑であるというとき、bのほうがaより要素と関係が多いことを意味する。
たとえば、以下の図では、「RPG b」は「RPG a」より複雑である。bは、aにはない「隠しボスが存在する」という要素(決めたこと)を備える。
また、「隠しボスが存在する」という決定は、さらなる決定を要求する。たとえば、「隠しボスのはスキルAとBを持つ」、「隠しボスを倒すとアイテムXを落とす」などの決定である。
ゲームデザインの複雑性の増大
上記の例で示したように、ある決定、たとえば「隠しボスが存在する」という決定をした後には、さらに決定を行う必要がある場合がある。必要な決定の数が増えるほど、誤った決定を行う可能性も増える。誤った決定は、プレイヤーにとっての不満点となる。
そのため、プレイヤーの不満を避け、誤りを少なくするために、より複雑でないゲームデザインを目標とするかもしれない。しかし、プレイヤーはゲームプレイの経験の蓄積により、より複雑なゲームデザインを要求するかもしれない。その場合、複雑さを受け入れる必要がある。
たとえば、「隠しボスが存在しない」という決定は、昔のRPGでは許容されたかもしれない。しかし、「隠しボスが存在する」というRPGのプレイ経験を持つプレイヤーにとっては、現代のRPGにおいて、「隠しボスが存在しない」という決定は、受け入れにくいかもしれない。そのため、この決定はプレイヤーにとっての不満点となりうる。
したがって、複雑なゲームデザインを求めるプレイヤーを満足させていくには、複雑なゲームデザインを適切に創っていける必要がある。
もちろん、全てのプレイヤーが複雑なゲームデザインを求めるとは限らない。しかし、より多くのプレイヤーを満足させることを目標とする場合、複雑さを要求するプレイヤーと要求しないプレイヤーの両方を満足させていく必要がある。
まとめ
この記事では、以下を主張した。
あるゲームに要求される ゲームデザインは、ゲームプレイヤーのゲームプレイ経験の蓄積に伴い、徐々に複雑になっていく。
この主張が適切ならば、以下が言える。
ゲームデザインの複雑さの制御が困難になっていく。
したがって、今後は、
ゲームデザインの複雑性の制御を支援するための仕組みや手法が必要となる。
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