この記事では以下の主張を行う。
・ゲームデザインのプロセスでは、ゲームとゲームをプレイするユーザの環境との関係を考慮しなければならない。
以前の記事で、「デビルサバイバー」をプレイして感じた不満点として、
・プレイ時間が表示されない。ゲーム内容とは直接関係ないけど、何時間プレイしたかは気になる人なので欲しかった。
を挙げた。
ここでの疑問として次の二つがある。
(1) プレイ時間を表示するかしないかの決定は、ゲームデザインの一部か?
(2) ゲームデザインの一部とするなら、どんな意味があるのか?
ゲームデザインのプロセス(活動)とは、ここでは、次のような側面に対する様々な決定を行うことだする。
(1)ゲームのルールの側面: キャラクターのレベルは上がる。レベル制限は99。戦闘はターン制であり、敵と見方が交互に行動を行う、など。
(1.1)ゲームバランスの側面: ある敵のHPは500といった、パラメータの設定など。
(2)ゲームシステムの側面: セーブ数は、10件など。
(2.1)ユーザインタフェースの側面: LボタンとRボタンでキャラクターの切り替えができるなど。
(2.2) システムの品質に関わる非機能要素の側面: たとえば、ロード時間に対する要求。3秒以内に戦闘画面を表示し、ユーザの入力を受け付けなければならない、など。
(3)ゲームの遊び方に関する側面: ゲーム中のBGMを自由に変更できるなど。
ゲームデザインとは、このプロセスの結果として決めたことの集合であるとする。
・「プレイ時間を表示するかしないかの決定」はゲームシステムに関する決定であるため、ゲームデザインの一部である。
となる。
二番目の疑問の意図を明確にするために、疑問に至る具体例をさらに紹介する。
「デビルサバイバー」のレビューで挙げられている不満点に以下があった。
・セーブデータが一つしか作れない
この不満点は、この記事を書いている時点の全39件のレビューのうち、12件あった。なぜこれが不満点なのか? 12件中何件かは、不満の理由を書いている。理由は、二つに区別できる。
(a) ゲームシステムとゲームルールとの関連: ストーリー分岐があるので、セーブデータが一つでは、色々な分岐を見るのが面倒。
(b) ゲームシステムとプレイ環境との関連: セーブデータが一つでは、家族で共有出来ない。
aでは、「ストーリー分岐がある」がゲームルール上の決定で、「セーブデータが一つ」はゲームシステム上の決定としている。ゲームデザインの不満は、ルールとシステムの不一致から発生する。
bでは、「セーブデータが一つ」はゲームシステム上の決定で、プレイ環境とは「ゲームをする家族がいる」としている。ゲームデザインの不満は、プレイ環境とシステムの不一致から発生する。
このことからは、
・ゲームデザインのプロセスでは、ゲームとゲームをプレイするユーザの環境との関係を考慮しなければならない。
ということが言える。
恐らく、多くのゲームデザインの実践者はこのことを経験から分かっていると思われる。この記事では、このことを明確にした。
・ゲームデザインのプロセスでは、ゲームとゲームをプレイするユーザの環境との関係を考慮しなければならない。
以前の記事で、「デビルサバイバー」をプレイして感じた不満点として、
・プレイ時間が表示されない。ゲーム内容とは直接関係ないけど、何時間プレイしたかは気になる人なので欲しかった。
を挙げた。
ここでの疑問として次の二つがある。
(1) プレイ時間を表示するかしないかの決定は、ゲームデザインの一部か?
(2) ゲームデザインの一部とするなら、どんな意味があるのか?
ゲームデザインとは何か?
ゲームデザインのプロセス(活動)とは、ここでは、次のような側面に対する様々な決定を行うことだする。
(1)ゲームのルールの側面: キャラクターのレベルは上がる。レベル制限は99。戦闘はターン制であり、敵と見方が交互に行動を行う、など。
(1.1)ゲームバランスの側面: ある敵のHPは500といった、パラメータの設定など。
(2)ゲームシステムの側面: セーブ数は、10件など。
(2.1)ユーザインタフェースの側面: LボタンとRボタンでキャラクターの切り替えができるなど。
(2.2) システムの品質に関わる非機能要素の側面: たとえば、ロード時間に対する要求。3秒以内に戦闘画面を表示し、ユーザの入力を受け付けなければならない、など。
(3)ゲームの遊び方に関する側面: ゲーム中のBGMを自由に変更できるなど。
ゲームデザインとは、このプロセスの結果として決めたことの集合であるとする。
ゲームデザインとゲームプレイ環境
上記のゲームデザインの定義に従えば一つ目の疑問に対する回答は、・「プレイ時間を表示するかしないかの決定」はゲームシステムに関する決定であるため、ゲームデザインの一部である。
となる。
二番目の疑問の意図を明確にするために、疑問に至る具体例をさらに紹介する。
「デビルサバイバー」のレビューで挙げられている不満点に以下があった。
・セーブデータが一つしか作れない
この不満点は、この記事を書いている時点の全39件のレビューのうち、12件あった。なぜこれが不満点なのか? 12件中何件かは、不満の理由を書いている。理由は、二つに区別できる。
(a) ゲームシステムとゲームルールとの関連: ストーリー分岐があるので、セーブデータが一つでは、色々な分岐を見るのが面倒。
(b) ゲームシステムとプレイ環境との関連: セーブデータが一つでは、家族で共有出来ない。
aでは、「ストーリー分岐がある」がゲームルール上の決定で、「セーブデータが一つ」はゲームシステム上の決定としている。ゲームデザインの不満は、ルールとシステムの不一致から発生する。
bでは、「セーブデータが一つ」はゲームシステム上の決定で、プレイ環境とは「ゲームをする家族がいる」としている。ゲームデザインの不満は、プレイ環境とシステムの不一致から発生する。
このことからは、
・ゲームデザインのプロセスでは、ゲームとゲームをプレイするユーザの環境との関係を考慮しなければならない。
ということが言える。
恐らく、多くのゲームデザインの実践者はこのことを経験から分かっていると思われる。この記事では、このことを明確にした。
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疑問: ゲームデザインの再利用を行うかどうかを決定する要因は何か?
前回の記事では、ゲームデザインの再利用についての定義を議論した。ゲームデザインの再利用とは、
・あるゲームデザインの部分的構造を、他のゲームで利用すること
であるとした。
また、再利用をゲームのシリーズの観点から以下の二つに分類した。
(1)シリーズ内再利用: あるゲームシリーズ内でのゲームデザインの再利用。
(2)シリーズ外再利用: シリーズ外のタイトル間でのゲームデザインの再利用。
この記事では、シリーズ内でのゲームデザインの再利用を行うかどうかを決定する一つの要因について考察する。つまり、
・ シリーズ内において過去のデザインのどの部分を再利用するかどうかは、過去のゲームをプレイしたユーザを考慮しなければならない。
この考察は、先日、「女神異聞録デビルサバイバー」のレビューを分析していて気づいたことである。
開発者の観点からの再利用の決定要因
再利用を行うかどうかの決定には、様々な要因が関係する。再利用を行うことの利点の一つには、以下がある。
・デザイン(意思決定)のコストの削減: 適切なデザインを行う、もしくは、意思決定を行うのは難しい。そのため、過去の部分的なデザイン(決定内容)の品質が悪くないのなら、その部分を再利用することで誤った意思決定を行うリスクを避けられる。
これは、開発者側のビューといえる。
ユーザの観点からの再利用の決定要因
一方で、ユーザの観点から、ゲームデザインの再利用を観察できる。
「女神異聞録デビルサバイバー」は、女神転生シリーズの新しいタイトルである。 この記事を書いている時点での、「女神異聞録デビルサバイバー」の全28件のレビューでのユーザの不満を分析した結果には、以下があった。
・悪魔全書は欲しかった。悪魔全書がない。
悪魔全書は、最近の女神転生シリーズおいて導入されているシステムの一つである。
悪魔全書がないことの不満は3件あった。28件中の3件なので、それほどどのユーザにも共通する不満とはいえないかもしれない。
もちろん、デビルサバイバーにおいて悪魔全書を導入もしくは再利用しなかった何らかの理由があるかもしれない。
(1)容量の都合: 悪魔全書を導入したかったが容量上の都合でできなかった。
(2)ゲームシステムの都合: 悪魔全書の導入を検討したが、今作は、従来のRPGとは異なるシミュレーションRPGであるため、悪魔全書の導入はゲームシステム上適切でないと判断した。
考察
考察は以下である。
・シリーズの新しいタイトルのデザインの不満は、過去のシリーズタイトルをプレイしたユーザかどうかよって異なる。
したがって、
・ゲームデザインを再利用するかどうかの決定は、開発側の観点からのみ考慮されるのではなく、過去のシリーズタイトルをプレイしたユーザの観点からも考慮されなけばならない。
もちろん、この考察は、考慮されなければならい、といっているだけでどうすればいいのかの具体的な指針を提供していない。一ついえるのは、通常、
・過去のシリーズタイトルをプレイしたユーザにとっては、今までのシリーズで導入されていたデザインが再利用されなかった理由が分からない
ということである。したがって、ユーザに納得してもらうためには、
・開発者側は、デザインを再利用しなかった根拠を明確にする
ということが必要かもしれない。
疑問: どんな種類のゲームデザインを再利用できるのか?
今までの記事で定義してきたように、もしゲームデザインを意思決定の結果だとするなら、どんな種類の(部分的な)意思決定結果を再利用できるのだろうか?
再利用は、別の言い方をするなら、新規性がないと見なせるかもしれない。しかし、ある種の再利用は、コストの面などから不可避であるともいえる。事実、既存のゲームの多くが過去のゲームのデザインを明示的・暗黙的に再利用している。
ここでの課題は、どんな種類のデザイン であれば、再利用が適切なのかを決める何らかの 基準・原則 を明らかにすることであると言える。この記事では、この課題に向けての基礎的な定義を考えたい。
ゲームデザインとは何か?
ゲームデザインのプロセス(活動)とは、ここでは、次のような側面に対する様々な決定を行うことだする。
(1)ゲームのルールの側面: キャラクターのレベルは上がる。レベル制限は99。戦闘はターン制であり、敵と見方が交互に行動を行う、など。
(1.1)ゲームバランスの側面: ある敵のHPは500といった、パラメータの設定など。
(2)ゲームシステムの側面: セーブ数は、10件など。
(2.1)ユーザインタフェースの側面: LボタンとRボタンでキャラクターの切り替えができるなど。
(2.2) システムの品質に関わる非機能要素の側面: たとえば、ロード時間に対する要求。3秒以内に戦闘画面を表示し、ユーザの入力を受け付けなければならない、など。
(3)ゲームの遊び方に関する側面: ゲーム中のBGMを自由に変更できるなど。
ゲームデザインとは、このプロセスの結果として決めたことの集合であるとする。
ゲームデザインの構造とは何か?
ゲームデザインとは、決めたことの集合であるとした。決めたことは、独立しているのではなく、他の決めたことと関係を持つ。たとえば「レベル制限は99」という決定は「キャラクターのレベルは上がる」という決定がまずなされていなければならない。
ここでは、ゲームデザインの構造を、決めたこと(構造要素)とその間の関係とする。
ゲームデザインの再利用とは何か?
ゲームデザインの再利用とは、あるゲームデザインの部分的構造を、他のゲームで利用することだと言える。もちろん、再利用時にはそのまま利用できないかもしれず、修正が必要かもしれない。
ゲームデザインの再利用の分類
既存のゲームにおける再利用は、一つの軸の観点から以下に分類できる。
(1)シリーズ内再利用: あるゲームシリーズ内でのデザインの再利用。
(2)シリーズ外再利用: シリーズ外のタイトル間でのデザインの再利用。
シリーズの観点から分類を行う理由は、シリーズ内では許されるデザインと、シリーズの外で許されるデザインとでは違いがあるためである。たとえば、ドラクエシリーズで、メラやヒャドといった呪文の種類や名前が何度も使用されるのは、ゲームをプレイするユーザ側からみても違和感はないといえる。しかし、ドラクエとは全然異なるゲームタイトルで、メラやヒャドといった対象を使用するのは、問題があるといえる。
NintendoDS mk2さんところを参考に「デビルサバイバー」のレビューデータを軽く分析してみました。分析といっても、不満の部分を分類して件数を出しているだけ。
今日(1/26)の時点で、レビュー数は18件。不満件数のトップ3は、以下。
(1)5件: 悪魔の種類が少ない。
(1)5件: セーブデータ数が少ない。
(2)4件: オークションのシステムは微妙。緊張感がない。駆け引きがないなど。
(3)3件: 悪魔全書がない。
レビュー件数がまた増えたらもっと詳細に分析していくつもりです。分析の結果は「ゲームレビューから学ぶゲームデザインの原則」にまとめていくつもりです。
今日(1/26)の時点で、レビュー数は18件。不満件数のトップ3は、以下。
(1)5件: 悪魔の種類が少ない。
(1)5件: セーブデータ数が少ない。
(2)4件: オークションのシステムは微妙。緊張感がない。駆け引きがないなど。
(3)3件: 悪魔全書がない。
レビュー件数がまた増えたらもっと詳細に分析していくつもりです。分析の結果は「ゲームレビューから学ぶゲームデザインの原則」にまとめていくつもりです。